2008年03月11日

きよ友

きよ友1一度は見ておきたい倉俣史朗インテリアデザインシリーズの1つ、寿司屋「きよ友」。
先日ちょうど東京・新橋に用事があり、見ることができました。しかし、店はもう営業していないような状態でした。

ここは、インテリア業界人としては外せない店で、きよ友を模したデザインが、その後多数普及したと思われる内装です。現在の感覚で見ると、似たような店が他にもあるな、と思われるほど亜流のデザインが存在します。
内部には入れませんでしたので、外観・アプローチだけを見ましたが、建築の常識で考えると施工者泣かせの納まりが幾つかありました。

店の外観は、既存建物を覆いつくすように張られたグレー色の鋼板と、客を柔らかく店内に導く曲面状の青塗装鋼板だけで、無駄な装飾を排除したシンプルな構成となっています。
店内の様子は外部から一切見えず、異次元空間へ移動するためにつくられた装置のようです。
アプローチ奥にあるエントランスドアは、ガラスを嵌め込んだ木製格子の引戸で、また通用口として外壁の右側に外壁と同仕様により存在感を消したドアがあります。
外壁の鋼板は厚み3oほどで、鋼板同士のジョイント部分は3o幅のシール処理が施され、ビスや建具の枠・金物も存在を消し去り、細部まで配慮されています。

きよ友2.jpg内部は写真で見る限り、木目を基調とし、曲面の天井からは間接照明を効果的に使用して陰影を出し、全体として暖かい雰囲気で構成され、また現在ではよく見かけるようになったワイヤーシステムの照明、チェアは倉俣史朗氏によるデザインのもので、内部もシンプルなデザインで統一されています。

この「きよ友」は1988年に造られたものですが、倉俣史朗氏によるインテリアデザインの店舗はほとんど取り壊されているため、現存する作品としては希少なものの1つです。
建築以上に消費されやすい一過性のインテリアデザインに、氏は、その儚い思いと自由な発想と革新的な表現でデザインという痕跡を残したと思います。

posted by suzuking at 23:04| Comment(1) | TrackBack(0) | ショップ・インテリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「きよ友」の 最後は オーナーの夜逃げさったそうです。
倉又さんに連れら、1989〜1991年に数回うかがいましたが
いろいろな アイディアが 実際の壁やカウンター、照明器具、
チェアーとなって 構成されていました。
すばらしい内装と家具のデザインは 確かに 斬新で、
刺激が いっぱいでした。

しかし、
他のお店でも よくある、優れた 内装でも 長くその店が
運営され、その店の本来の営みを支える一助にならず、
店が 居抜きで売られたり、壊れていく家具の補充もできず、
他の家具や備品が 使われ、調和もデザインも 機能もない
...........
そして、
店もなくなる........
この点に関しては インテリア デザナーだけでなく
建物のデザイナーも 店のマーチャンダイザーも
改めて 何のためのお店であり、何がどう機能することで
そこの、本来業務が 遂行され、営みが 継続できていくのかについて
熟慮と配慮され、本来の、役割をつくりあげて 改修し、
より良い「空間」を保持してほしいと思います。
Posted by 犬野椅子 at 2011年06月01日 21:22
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